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2021.06.19 経営哲学 記事

経営戦略や戦術より上位の次元にあるもの

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from寺﨑博俊

あなたは経営計画を考える場合、何から考えますか?

・売上げ?

・売り方?

・目標?

・決算期の利益?

・商品開発?

これはどこから考えても全く問題ないんですが、例えば全く同じ商品、似たような商品を取り扱っている会社があるとして、会社によって業績も違えば会社の雰囲気、社員の雰囲気、さらには顧客が感じる印象が全く違うのはなぜでしょうか。

それは、行動の結果を決める重要な「あること」が関わっているんです…。

物事には次元の高低差がある

経営計画を考える場合、必ず戦略や戦術といったことを考えると思います。

戦略とは、「どのような考え方、道のりで目的を達成していくか」といったことを考えて決めていきます。これを現代のビジネス用語に合わせれば「マーケティング」の領域と言い換えることができます。これが「戦略」です。

次に、戦略が決まれば「戦術」を考えていきます。どの様な方法を使って、誰に任せて、どんなスキルが必要か、どんなシステムや道具を使うか、といった内容です。現代のビジネス用語に言い換えれば「ノウハウ・スキル」の領域と言っていいでしょう。

このマーケティングやノウハウ・スキルの勉強は多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。

では、この「戦略」や「戦術」を用いる際には必ず経営者の「意思決定」がなされてると思います。

この「意思決定」は一体どうやって、何を根拠に下されるのでしょうか?

つまり、それを「価値観」と言います。

価値観とは、「思考の物差し」といった意味を持ちます。人の生きてきた経験値の中で学んできたことがその価値観のベースになります。

そしてこの「価値観」には「高い価値観」と「低い価値観」といった「高低差」と「個性差」があるといわれています。今回重視するのは、この価値観の「高低差」の部分です。

意思決定をしていく順序

経営戦略や戦術を実際に立てていく際の順序は、

経営者の価値観(高低差と個性差)

経営戦略(マーケティング)

経営戦術(ノウハウ・スキル)

という意思決定の順序で決まっていきます。つまり、似たような商品やサービスを作る会社でも結果が違うことや、会社個々に違いがあるのは経営者の価値観の「高低差と個性差」が大きく関与していきます。

会社の業績や顧客に提供する商品・サービスの価値を上げていくにはどの項目も大切です。優れたマーケティング能力も必要ですし、優れたスキルやノウハウも実績を出すには重要な要素です。それを学べる機会やチャンスも日常の中に数えきれないほど存在します。自分の力にしていくのには大変な努力も必要ですが…。

しかし、価値観の「質(クオリティ)」を高める機会は実はそう多くはありません。

なぜなら、明治維新以降の「近代」という時代は、物質文明の経済が大きく発展していく時代背景というのがあったので、「技術」「ノウハウ」「スキル」などの「能力的部分」が非常に重要視されてきました。

それらは当然重要な事柄ですが、人間の本質的なコア(核)の部分の「価値観」を高めず「能力」だけを高めていることは、車輪の片方だけが大きく回っている状態と同じで、バランスが悪い状態になってしまいます。バランスが悪いと、必ずどこかで転倒して大ケガをするのと同じで、意図しない所で会社に大ダメージをもたらしてしまうこともあります。

価値観は学習すると高くなっていく

人の全ての思考と行動を左右する「価値観」ですが、人は生きてきた人生の日常の経験値の中で得てきた価値観を持っています。どんな環境で育ってきたか、どんな人に出会ってきたか、何に興味があったか、この様な過程を経て自然とその人自身の価値観が構築されていきます。

ですが、それだけでは何が低い価値観なのか、高い価値観なのかという区別がつきません。

この価値観の高低差を分かりやすく説明すると、例えばあなたが車を運転しているとします。地面を運転している目線だと、目の前の道路交通事情しか分からないため、この先に渋滞が発生していたとしても気づけません。もっと空いている道があって、目的地に最短で行けるルートがあったとしても、その位置から見える距離しか見えないので行き当たり場ったりになってしまいます。

逆に、高層ビルの上から道路を眺めると、交通状況がどうなっているのかを一望に見渡せます。そして事前に渋滞しているルートを確認して、空いている道から行こうという意思決定が出来ます。

このように、低い価値観の位置で思考するということは、その位相でしか物事を見たり考えたりしか出来ないため、事前に過ちを回避することや、問題が起こった時の解決方法が中々分かりません。

逆に、高い価値観で思考するということは、低い位置に比べると、起こっている出来事に対して何が問題なのか、どの様に思考すれば解決できるのか、自分の今の立ち位置や思考のレベルというのが自分自身で分かるようになるので、状況が手に取るように掴めるようになっていきます。

では、どうやって価値観を高めていけばいいのか?

それは、「学習」することによって高まっていきます。

つまり「思想」の学習です。

現代の日本では「思想」というと、なんだか怪しげな思想なんじゃないのか、変な宗教みたいなやつじゃないのか…といった反応を得られそうですが、その反応こそ敗戦後の占領政策の賜物かもしれません。(話がずれるので戻しますが…)

思想というのは「普遍的な高い価値観を学ぶ学習」といった意味で捉えていただければいいと思います。

西洋は「能力」、東洋は「思想」、日本は「精神」

例えば「武士道」等も高い価値観ですし、能楽の「風姿花伝・花鏡」や、「論語・孫子・老子」などの中国古史古伝等も思想学習の一つです。

江戸時代までの日本の「学問」というものは、もっぱらこのような「思想学習」を学問と捉えていました。「思考力」を高めていくことが学問の範疇だったのです。

しかし、明治維新後は「科学」という学問で西洋に後れを取っていたため、日本では国を挙げて西洋学問を学ぶことが推奨されていきました。現代もその流れを汲んでいます。

文明を発展させるために科学を学んだ成果は、今私たちが恩恵を受けているように大変素晴らしいものです。ですが、西洋科学は対象の外側を追求していく学問でもあるので、人間の「内面」の部分はしばしば置き去りにされがちです。

その様な中で環境破壊や人の健康問題、精神疾患、家庭の問題など、江戸時代まではなかった「問題」も生じてきました。西洋発の科学文明を、真の意味で全ての人が幸福に生きれる社会に活用するためには同時に人の「価値観」や「精神性」を高めていく必要が求められています。

日本人はまず、アイデンティティを取り戻す所からが出発点

人の価値観を形成するコア(核)となる部分は「価値観」ですが、そのさらにコアとなる部分は「アイデンティ(自分が何者かを知る)」です。

何度も出てきますが、第二次世界大戦後のGHQの占領政策の名残を敗戦以後ずっと続いているのが今の日本で、日本人自身が自分たちの国のこと、文化や価値観と言ったことをほとんど知らないのです。

なぜなら、重要な事を学校で教えられなくなりましたし、メディアを通して自虐史観を植え付け、欧米思考の考え方が主になってしまい、自国文化や歴史、精神性を学ぶ機会を奪われてしまったからです。

そうなってくると、学校教育ではいい大学に入って、いい会社や職業に就職することが学ぶ目的となってしまい、全体より個を重視するという価値観、愛国心の喪失、今だけ・金だけ・自分だけという価値観に染まってしまいました。

その様な社会になってしまうとどうなるか?国家・社会全体よりも個を優先してしまう人が増えてくれば殺伐な世の中になっていきます。

実際に、今の政治家のふるまいや利権団体等のしていることを見ていればその通りになっています。結局、個を優先しすぎた社会は最終的には崩壊し、誰も幸せにならない、という結末になるというパラドックスには誰も気づきません。

これは小さい単位の「家庭」や「夫婦関係」「会社」「学級」なども同じで、それぞれが「個」を優先してしまうと関係性が崩壊して、結局は誰も幸せにならないことを意味しています。

私たち日本人はどんな国民だったのか、何を大切にしてきたのか、、ということを思い出さなければいけない時期になってきました。

日本人元々の「歴史観」「文化」「思想・精神性」といったものを再度学んでいくことで、バランスのいい価値観形成が出来ていきます。

本当の深い思考力はバランスから生まれる

このアイデンティティを取り戻せた人が経営する会社は企業として顧客にも社員にも家族にも、地域社会、そして国家、国際社会にも真の意味で貢献します。ここでいう貢献とは、企業の売上規模や収入などの話ではありません。

「貢献」とは、大きなことをすればいい、ということが全てではなく、身近にいる人、自分の会社のお客様や取引先等、周囲にいる人に貢献することでも十分なのです。それが全体の部分として紡いでいけば、どこかで繋がり、全体に波及していきます。

つまり、会社の価値に売上の大小は関係ありません。その会社が「何を成そうとしているのか」という理念と行動が価値の基準です。

インテリジェンスが苦手な日本人

会社を経営する上で重要なものに、「情報分析」があります。これを「インテリジェンス」と表します。インテリジェンスというのは、「知能・知性・諜報」といった意味を指します。ここでいうインテリジェンスとは「社会の情報分析」の事を指します。

ほとんどの人はニュース等で情報を得ていますが、ニュースだけを拾っていても、実はほとんど何の役にも立ちません。なぜなら、いくら部分だけの情報を得ても、その情報の全体像が掴めないので捉えることが出来ないからです。

社会の動きというのは、今この瞬間に突発的に起きているものではありません。時間軸の中で連綿と続いている出来事の流れで「今」が起きているわけです。つまり、歴史を学ばなければ情報はまず理解出来ない、ということになります。

例えば、コロナパンデミックが起きている昨今、ほとんどの人が新型コロナを恐れ、マスクをし、ワクチン接種に殺到していますが、残念ながらこれは「インテリジェンス」がないが故です。今報道されている出来事の部分的情報に右往左往してしまい、全体像が見えないため勝手に脳が恐怖してしまいパニック状態になってしまっています。

歴史と全体像、社会の構造といった流れで見ていくとおおよその全体像が把握できるので、なぜパンデミックが起きたのか、どうして世界一斉にメディアはコロナを報じたのか、ワクチン接種を大規模にしているのか…等の理由が分かり、今後起きるであろう展開も予測が出来ます。

政府中枢にいる人達ですらこのインテリジェンスが苦手な人達が多いので、外国からはやられっぱなし、バカにされっぱなし、というのが悔しいですが現実です。こうやって日本人を骨抜きにしてしまった戦後の占領政策は大成功しています。そろそろ気づいて取り戻そうとしてくれる人達が増えることを願うばかりです。

あなたの経営判断の成功は全て「価値観」で決まる

あなたが顧客からも社員からも、関係する人々から支持される、価値のある会社にするには全て経営者の「価値観」によって決まります。どの様な理念で、事業を通して何をしようとするか。それは日々の事業の中で社員教育や顧客へ提案する内容など全てに関係してきます。

その価値観から生み出された理念や商品・サービスがあって初めて、それを顧客に買ってもらい売上を作っていくという「マーケティング」や「ノウハウ・スキル」の活用という次元に降ろしていきます。

あなたの会社の価値を高めていくためには、「思想学習」「アイデンティティ(歴史学)」「インテリジェンス(情報分析能力)」の学習を通して深い思考力を獲得する必要があります。

もちろん、マーケティングやノウハウなどの学習を同時に行うことも必要です。

この「思想・価値観」と「能力」が備わった人が、無敵の状態になります。

あなたも「無敵の経営者」を目指してみてはいかがでしょうか?

 

PS:三国志で有名な諸葛孔明は、「学習する目的とは、学んだことを実際の生活に活かしていくことだ」と述べています。学びには終わりがないので、生涯学び続けることが大切だな、とつくづく感じます。私は「これは能力を高めるため」「これは思想価値観を高めるため」といった分け方をしながら学習するように心がけています。

 

PPS:「アイデンティティ(歴史観)」「インテリジェンス(情報分析能力)」「人間学(思想・価値観)」という3つのテーマを学べる情報をメルマガで配信しています。ご興味ある方は下のボタンからお気軽にご登録下さい。メルマガは無料です。